マーケティングの話

【妊婦やサーファー】口コミでワークマン愛用者が増えるワケ

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こんにちは、きくちはらです。

このブログは、数字の苦手な経営者さんに話題のニュースを基に、会計的視点、マーケティング的視点、マネジメント的視点などから、あなたのビジネスのヒントになる情報をお届けしています。

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ターゲットを絞ってしまうと売上が減る?

あなたも「ターゲティング」という言葉を聞いたことがあると思います。いくつもある消費者グループの中からどのグループを販売ターゲットにするかを決めることを言います。たとえば同じ商品であっても、ターゲットを女性にするか、男性にするかで、店構え、立地、価格帯、広告方法などなど、マーケティング戦略が大きく違ってきますね。新たに販売しようとしている商品がマッチする消費者グループを選択して、そのグループに合ったマーケティング戦略を立案することが必要になります。

しかし、ターゲットを絞ると売上が減るんじゃないかと考える経営者さんは少なくありません。女性だけでなく男性も来てほしい。若者だけでなく中高年層も来てほしい。その気持ちはよく分かります。よく分かりますが、万人受けを狙った結果、誰も来ない店になったしまったという事例は死ぬほどあります。人は「自分のことだ」と感じないと反応できません。誰をターゲットにしているのか分からない店は、誰も立ち寄れないのです。特に中小の場合は広い消費者層をカバーできないので、ターゲットを絞り「ニッチな市場」に特化する方が結果的に儲かります。

あなたがアイドルグループをプロデュースすると考えれば…

このことは、あなたがアイドルグループのプロデューサーになったと想定すれば分かりやすいでしょう。現在のアイドルには、テレビや雑誌にたくさん登場するアイドルもいれば、ネットの世界で人気のアイドルもいます。ダンスをウリにしているグループもあれば、バンド形式のグループもあります。地下アイドルと呼ばれるグループもあれば、ご当地アイドルとして活動地域を限定するグループもあります。

これだけ多くのアイドルグループが群雄割拠する中で、あなたはどのようにグループを売り出しますか?「万人受け狙い」でグラビアもバンドもダンスも地下でも何でもやるグループにしますか?それとも、特定のファン層には支持される強烈な個性を持ったグループにしますか?当然後者ですよね。

今でこそアイドル業界を代表するグループとなった「AKB48」も、当初のコンセプトは

・会いに行けるアイドル

・秋葉原限定

という特定のファン層にターゲットを絞っていました。その後、メンバーの皆さんの活躍や、事務所・スタッフのサポート、ファンの応援によって、当初のターゲットを乗り越えて全国区の人気を誇るグループになったのです。

ターゲットを乗り越えファンが拡大している「ワークマン」

「ワークマン」といえば、ガテン系労働者御用達のイメージが強いお店ですが、PB商品の機能性が口コミで広がり、ライダー、学生、サーファー、妊婦さんまで、当初のターゲット層を乗り越えて顧客層が広がっているようです。その紹介記事がコチラ

↓↓↓

ワークマンがついにカジュアル店を出すワケ

バイク乗りや妊婦に「機能性ウエア」が人気

作業着専門店として圧倒的なトップシェアを誇るワークマンがなぜカジュアルウエアに進出するのか(筆者撮影)

ワークマンがカジュアルウエア事業を強化する。ベイシアグループの中で作業着、特に建設技能労働者向け衣料品の専門店として知られている同社は2018年3月末現在で全国821店舗をかまえており、作業着専門店としては圧倒的なトップシェアを誇る。2018年3月期の売上高は前年比7.3%増の797億300万円、経常利益は10.4%増の118億5600万円と絶好調。そんなワークマンがなぜカジュアルウエアに進出するのか――。

「ライダー」から火がついた

ワークマンのカジュアルウエア参入の歴史は新しい。きっかけは2015年、1着の防水防寒ウエアからだった。建設作業員や交通誘導員などの屋外作業員向けに作ったPB商品「イージス」が突如売れ出し、売り切れを起こす店舗が続出した。このようなことは前例がなかったため、本部関係者は首をひねりながら調査してみると、一般のバイクユーザーが防寒着として買い求めていた。

ライダーから火がついた「イージス」シリーズ。高い防水防寒性とストレッチ性能により、釣り人たちにも人気が広がった(ワークマンカタログより)

もともと屋外の過酷な環境下で働く作業員向けに作ったウエアなので、防寒性・防水性が高いうえに汗を逃がす高透湿性も備え、さらに軽量で動きやすい高機能ウエアだったが、それがライダーにとって冬場のツーリングや日常の通勤にも最適と口コミで広がっていったものだった。夜間作業員用に目立つカラーにしたのも、一般ライダーにとっては受け入れやすかった。

しかも、6800円と価格も安い。一般的に、バイク用の防水性を持つ防寒着は数万円はするからだ。ライダーに注目されたことがきっかけで、ワークマンブランドは各種のスポーツ愛好者、特定の趣味人たちに口コミで広がってゆく。

現在、ワークマンのPB商品は830アイテムを数えており、2018年3月期決算においてPB売上高は前年比33.4%増の255億円、PB比率は32.2%にのぼる。ここにはカジュアルウエアも含まれているが、そもそもは建設作業員向けに用意された商品群だ。

建設関係者は春夏秋冬、24時間、暑い日も寒い日も雨の日も屋外での作業を強いられる。その過酷な条件下でいかに快適に働き続けられるかが、作業着に求められる機能である。機能性が低いと低体温症や熱中症を発症するなど、命にかかわる危険性も生まれるからだ。

ワークマンのPB商品は、こうした現場のユーザーの要望に応えるべく防水性や防寒性、遮熱性、吸汗・速乾性、透湿性、ストレッチ性などの機能性を高めていき、価格の安さもあって売り上げが拡大している。

価格はスポーツメーカーの「3分の1」

高機能ウエアはスポーツメーカーやアウトドアメーカーから多数販売されているが、アンダーシャツでも数千円もするなど高価だ。ではなぜワークマンは低価格で提供できるのか。「1アイテムあたり10万着以上を作るから価格を抑えられるのです。建設関係者は真夏だったら1日に3回着替え、過酷な環境で働く現場では2~3カ月で衣服がダメになることもある。

建設現場では以前から接触冷感素材だけでなくコンプレッションウエアもニーズが高い。一日中肉体労働に従事している場合、適度な締めつけが筋肉の疲労を軽減してくれるからだ(ワークマンカタログより)

一度に複数枚を買い、年に何回も買いに来るため価格が安いほうがよいのです。また、法人の制服に採用された場合は一度に大量の注文が入り、毎年定期的に受注が入る。このため、1アイテム10万着から生産が可能となり、価格を抑えられるのです。これにより、スポーツ専用メーカーの1/3、アウトドアメーカーの1/2以下の価格で販売することができます」とワークマンの土屋哲雄常務取締役は説明する。

ワークマンのカジュアルブランドはこうした建設作業員向け衣料の延長線上にある。もともと建設作業員向けに作っていたPB商品のカラーバリエーションを作ったり、ワンポイントカラーを入れたりするだけでよいのだ。「そもそも、建設作業員向けの作業着自体も年々派手になっているので、そのままでもカジュアルウエアとして利用できる商品もあります」(土屋氏)。

トレッキングなどアクティブユーザーに人気の「フィールドコア」シリーズのパンツ。立体裁断とストレッチ性により動きやすく、しかも1900円の低価格で評判になり、クライミングパンツはすぐに売り切れる(ワークマンカタログより)

一昔前は、建設作業員の作業着はグレーや紺色、ベージュなど地味な単色のみだった。建設現場の服務規程で決められており、違反する作業着を着ていると現場にも入れないほど厳しかったという。それが現在では大きく変わっている。「採用難が理由です。建設現場は恒常的に人手不足で、若い人を募集するためには、スタイリッシュなウエアが着られて魅力的な職場だということをアピールする必要があるのです」(土屋氏)。以前は赤色は「血をイメージする」ためタブーとされていたが、現在ではワンポイントはおろか赤色を大胆に使ったウエアも多数存在するほど。

これが冒頭のイージスにつながる。イージスは2016年からライダーの要望を取り入れ、股下立体裁断により雨天のライディング時の水の侵入を防いだり、袖口リストガードで手首からの風の侵入を防ぐ機能を搭載、この結果、昨年は5万着がわずか1カ月で売り切れるほどの人気商品となった。さらに、バイク用に改良したものが釣り人にも人気となったため、釣り用に新たに「イージスオーシャン」を開発したが、これも昨年は3万着があっという間に売り切れた。今年はバイク用・釣り用ともに8万着を生産し、さらに機能を変えたラインを新たに作り、イージスシリーズ全体で30万着を生産する計画だ。

同じく「フィールドコア」シリーズのジャケット。カタログでは登山での使用をイメージしている。アウトドアメーカーで同性能のジャケットは安くても7~8000円はする(ワークマンカタログより)

現在、機能性ウエアのカジュアルブランドはイージスほか、アウトドア向けの「フィールドコア」、スポーツ向けに「ファインドアウト」の3ラインを用意している。フィールドコアは登山・トレッキング向けに高機能ジャケットやレインウエア、大人気商品でつねに品薄状態のクライミングパンツなど、ファインドアウトはランナーやロードバイク(自転車)向けにコンプレッションウエアなどを用意する。インナーウエアやコンプレッションウエアはゴルフや野球、サッカーなどあらゆるスポーツ競技者に人気で、「部活用に親子で買いに来るお客様も増えています」(土屋氏)。2017年3月期の3ブランド売上高は合計30億円だったが、2018年3月期は約60億円と倍増し、今年度には115億円を見込んでいる。

カジュアル専門店「WORKMAN Plus」出店へ

ワークマンはカジュアルブランドの売り上げ拡大に向け現在、店舗改革を進めているところだ。「まず、店舗の外観を白く塗り替えています。すでに300店舗で塗り替えが完了していますが、これにより明るいイメージで一般のお客様が入りやすくなりました。今後も年50~100店舗規模で改装を進めていきます。さらに、店員教育も進めているところです」(土屋氏)。

既存店の改装後。改装後は外壁が真っ白に塗られ、清潔感があって入りやすくなった(写真:ワークマン)

ワークマンの店舗は821店中692店がフランチャイズストアであり、多くが家族経営なため日中は店主1人となり、さらにお客はプロなので店のどこにどんな商品があるのかを把握しているため接客はほとんど必要なかった。しかも、店内の商品展示も職業別や作業別とプロを意識したものとなっているため一般客にはわかりづらい。そこで現在、店主の意識改革を進め、お客が探している商品の場所を案内したり、機能を説明するなどのフレンドリーサービスを徹底しているところだという。

そしてこの秋、カジュアル分野強化のために新しい取り組みを開始する。新業態店「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の出店だ。売り場面積は50~60坪程度で機能性カジュアルウエアのみを扱い、ファサード、レイアウト、展示すべてを既存店とは大きく変更する、まったく新しい形の店舗だ。

まずは東京都内の大型ショッピングモールへの出店を計画しているという。「当初はワークマンという名前を取り外して、新しいストアブランドを作ろうと思っていましたが、モール関係者から“ワークマンはプロが使っているプロ品質、こだわりの品質ということですでにブランドが確立しているから使ったほうがいい”とアドバイスを受けました。そのうえで、信頼性や安心感が感じられ、そこにアクティブで明るい印象を表現するために“Plus”を加えたのです」。

昨今のショッピングモール事情

流通専門誌である月刊『販売革新』(商業界)の西岡克編集長は昨今のショッピングモール事情を次のように話す。「現在のショッピングモールはアパレル分野が低迷しています。どのモールに行ってもテナントの顔ぶれは変わらず、ユーザーが飽きてきているから。そのため比較的好調な飲食や雑貨、コスメのテナント誘致に力を注ぎ、その結果、アパレルショップがさらに減るという現象が起きています。この流れを止めるためにも、目新しく勢いのあるアパレルテナントをモール運営者は探しているところです」。こうしたモール側のニーズにも合致し、ワークマンプラスに対して複数のショッピングモールから出店を打診されているという。

新業態店「WORKMAN Plus」の店舗イメージ。ショッピングモールへの出店のため、明るく入りやさを演出する。既存店ではマネキンは使用していないが、新業態店ではマネキンをはじめ各種VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)を導入する計画(写真:ワークマン)

また、ショッピングモールのアパレルショップは女性向けが多く、家族連れで行った場合、男性が立ち寄る店が少ない傾向にある。そのため、フロアの休憩スペースでは男性が所在なさげに座っている光景がそこかしこで見られる。ワークマンプラスの出店は、こうしたショッピングモール難民の男性の居場所になると期待もされている。

女性用に製作したカラフルなレインウエア(ワークマンカタログより)

3つのカジュアルラインでは迷彩柄のウエアも多数用意しており、サバイバルゲーム愛好者などのミリタリーマニアだけでなく、ストリートファッションとして迷彩柄を好む層にも売れているなど、幅広い男性層に売れ始めているからだ。

「上下をそろえると作業着になるが、上だけだと街歩きに使えるスタイリッシュなジャケットや、冷感素材を使用したストレッチデニム、ツナギも最近はスタイリッシュになっているなど、作業着をそのままカジュアルウエアとして提案することもできます。ワークマンプラスでは、機能性ウエア以外にもタウンユースとして使用できるウエアの展示も検討しているところです」

女性向けウエアも品揃えする。建設現場は男性中心のため、そこから派生したカジュアルラインも男性向けが中心だが、ワークマンでは建設系以外の職種に向けた衣料の開発も進めており、その中から一般ユーザーへと浸透し始めている商品もある。

業務用のエプロンは撥水加工や難燃防汚処理で丈夫にできており、ガーデニングなど一般ユースでも便利。厨房用の滑りにくいシューズはブログから火がつき妊婦に売れている(ワークマンカタログより)

たとえば、ノンスリップシューズ。もともとはレストランなどの厨房で働く人に向けて開発した靴だが、水まわりでも滑りにくい靴底を採用していることから妊婦に最適とユーザーブログで紹介され、一般女性に売れるようになった。

ホームセンターやフラワーショップ向けに開発したエプロンもガーデニング用として人気となり、レストラン用の焦げにくく汚れにくいエプロンも話題となった。中敷きが厚く履き心地がよいため介護現場で人気のダブルクッションキャンパスシューズも、タウンユースとして注目されている。フィールドコアでは女性用のレインウエアを開発するなど、一般女性向けに提供できる商品が徐々に揃いつつあるため、ワークマンプラスでは女性用のコーナーも用意する方針。

新業態店が成功すれば…

新業態店が成功すれば、既存店にも「ワークマンプラス」をインショップ展開していくことを考えているという。売り場中央を一般向けのワークマンプラスとし、壁面をプロ向けの展示に分けるものだ。「プロのお客様は出勤前の朝7~8時か仕事後の夕方5~7時に来店するので、昼間の時間帯は比較的空いている。そこに一般のお客様が来れば、アイドルタイムを売り上げに変えることができます」(土屋氏)。

ワークマンの土屋哲雄常務取締役(筆者撮影)

ワークマンプラスで一般客への接客・提案を磨き、それを既存店に転用することで客層の拡大も図っていきたい考えだ。「海岸近くの一部の店舗では地下足袋がサーファーに売れていると聞きます。滑らないし、足指に力が入り、岩場も歩けるかららしいです。ライダーがイージスに目をつけ、釣り人がそれに追随したように、ユーザーがワークマンの新しい使い方を発見することが多く、当社のほうが後追いでユーザーについていくことが多い。将来的にワークマンプラスでは、こうした地域のニーズにあった品揃え、提案、接客を積極的に実施し、当社のほうから発信していきたいと考えています」(土屋氏)。

現在、ワークマンの既存店1店舗あたりの平均年商は1億円。カジュアルブランド強化と同時に、本業であるプロ向けのPB商品も強化して法人営業の拡大を図り、平均年商1億5000万円への成長を目指す。2025年には1000店舗体制を計画しているが、全社売上規模も1000億円を早期に達成することは間違いないだろう。ワークマンではさらにその先を見据えて、「WORKMAN Plus」を次代の柱事業に育てようとしている。
引用元:https://toyokeizai.net/articles/-/224728

 

 

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